第75回 名古屋大学防災アカデミー 2011年12月2日(金) 於:環境総合館レクチャーホール

 

二元復興の国土づくり

―東日本の災害復興から首都圏・西日本の事前復興へ―

中 林 一 樹

明治大学大学院政治経済学研究科特任教授
 

講師紹介

12月2日の防災アカデミーは、中林一樹先生(明治大学大学院政治経済学研究科特任教授。中央防災会議専門委員、人と防災未来センター上級研究員も兼務)にご講演いただきます。

中林先生は都市計画がご専門で、東京都の防災都市づくり推進計画など、首都圏の防災計画の策定に中心的に関わってこられており、防災都市計画の第一人者です。また、中央防災会議専門委員もされており、今回の被災地の復興にもかかわられ、3.11東日本大震災が発生後かなり早い時点から復興に向けた専門家としての提言も発表されています。

東日本大震災の被災地では徐々に復興が進められつつありますが、多くの問題点も抱えているように思われます。

この地域でも巨大地震が確実に発生するといわれており、もし地震が発生した場合どのように復興してゆくのかあらかじめ考えておく必要があります。巨大地震が発生した場合、その復興をどのように進めてゆくのか、またどのような準備をしておくと復興に役に立つのかなど私たちが知っておくべきことも多くあると思います。

中林先生には2007年11月に防災アカデミーでご講演いただいていますが、今回は東日本大震災の被災を踏まえて、この地域の防災都市計画のあり方やまちづくりとしての事前の備えなど貴重なお話が聞けると思います。

講演のようす

講演される中林先生 会場の様子
熱心にメモをとる参加者。参加者は99名でした。 講演される中林先生

参加者の感想

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の発生後、約9か月が経過しようとしている。

過去15年間で、日本では震度7の地震は3回起きている。阪神・淡路大震災(1995.1.17)、新潟県中越地震(2004.10.23)、そして東日本大震災(2011.3.11)。地震が起きた後の住民は、防災意識が高まっているが、今現在、住民の防災意識はどうであろうか。当然、被災地では忘れることができない災害であるため、防災意識が強い。被害のなかった地域での防災意識はどうであろうか。今後、東海・東南海・南海3連動地震等に備え、ひとりでも多くの住民が防災意識を持っていただくことが必要である。

現在、東北地方を中心に災害復興が行われている。過去の震災を教訓に、二度と同じ災害が起こらないように、事前復興が必要である。自分、家族、友人が被災者にならないようにするためには、防災意識と事前復興である。

私は、行政(自治体)から本年10月より名古屋大学減災連携研究センターへ受託研究員として受け入れていただいており、「減災」をテーマに毎日、勉強している。

本日のアカデミーに参加させていただき、改めて勉強させていただいた。行政の立場として、ひとりでも多くの住民へ防災意識を持っていただき、更に「減災」を広めていくよう努力します。

皆さん、「建物の耐震はしていますか?」、「自宅、仕事場の家具固定はしていますか?」。皆さんも周りの人へ、呼びかけましょう。そして、自分の命は自分で守りましょう。

名古屋大学大学 減災連携研究センター

受託研究員 春日井 幸弘