第64回 名古屋大学防災アカデミー 2010年11月9日(火) 於:環境総合館レクチャーホール

 

減災社会を築く

岩 田 孝 仁

(静岡県危機管理部 危機報道監)

講師紹介

第64回防災アカデミーは「減災社会を築く」と題して、静岡県危機管理部危機報道監の岩田孝仁氏にご講演いただきます。

平成21年8月11日午前5時7分、静岡県内で震度6弱を観測する地震が発生しました。震源が駿河湾だったこともあり、「ついに東海地震が発生か!?」と多くの人が感じたかもしれません。そして、気象庁による運用後初の「観測情報」の発表…これらの一連の動きを、現場の最前線はどのように体験し、対応されたのでしょうか。

また、今後の日本社会が向き合わなくてはならない様々な問題が、「減災社会を築く」こととどのように関係するのでしょうか。数十年間にわたり、地震防災を常にリードしてきた方による、貴重なお話を伺うことができると思います。是非、多くの方に聴講いただきたいと思います。

講演のようす

会場内の様子 講演される岩田さん
質疑応答も活発に行われました 会場は95名の参加者でいっぱいとなりました

参加者の感想

東海地震が発生した場合、震源域に最も近い静岡県がどのような施策を行っているのか、昭和51年当時の東海地震説が唱えられ始めた時から、先進的に地震対策を行ってきた静岡県で陣頭指揮をとられている岩田さんがお話になるということで、非常に興味があり今回の防災アカデミーに参加させていただきました。

お話の中で特に印象に残ったのは次の2つです。

1つ目は、平成21年8月11日に発生した駿河湾の地震の際に、静岡県の災害対策本部がどのような状況であったかです。静岡県では、大体1ヶ月に1回ぐらい訓練を行っており、発災当時はマニュアルに沿った動きになりがちであったものの、時間がたつにつれ、訓練の成果から手際よく、臨機応変な対応もできたという点が印象に残りました。改めて常日頃からの訓練と初動体制の大切さを、認識させられました。

2つ目は、静岡県の若い世代への取組みです。昨年度小学校5・6年生全員に対して家庭内DIGのパンフレットを配布したことと、中高生を地域の防災訓練へ参加させるというものです。今後、少子高齢化が一層進むと、ますます共助ができなくなる可能もあります。いかに、若い世代が防災に関心を持ち、地域社会の中に入ってもらって、共助体制を作りあげていくかは、どの自治体にとっても共通の課題だと思われます。愛知県においても、名古屋大学のご協力により、県教育委員会と高校生防災セミナーを開催しているところですが、こうした静岡県の取組みが若い世代をどれだけ地域社会の中へ取り込み、共助体制を作っていくことができるのか、とても興味深く、印象に残りました。

愛知県防災局防災危機管理課 福田拓克