第62回 名古屋大学防災アカデミー 2010年9月24日(金) 於:環境総合館レクチャーホール

 

都市のマスタープランと防災

村 山 顕 人

(名古屋大学大学院環境学研究科 准教授)

講師紹介

第62回名古屋大学防災アカデミーは、「都市のマスタープランと防災」と題して、名古屋大学大学院環境学研究科の村山顕人先生にご講演いただきます。

村山先生は都市計画、都市デザイン、まちづくりなどがご専門で、名古屋市をはじめとした多くの計画にも参画されています。そのようなご経験に基づき、まず都市計画について基礎的な点からご説明いただくとともに、減災や復旧・復興の観点から都市計画をどのようにしたらよいか、関東大震災の東京や阪神淡路大震災の神戸、そして現在の名古屋などを例に、わかりやすくお話いただけるものと思います。

高度に集中した現在の都市では、地震などの大災害によりさまざまな問題が発生する可能性があります。被害の発生や拡大を最小限に抑えるとともに、災害のダメージからいち早く立ち直り、将来に向けて復興を成し遂げるには、都市規模での綿密な計画や対応がとても重要になります。

ぜひ多くの方に聴講いただき、大都市名古屋の防災について考える機会としていただきたいと思います。

講演のようす

会場内の様子 講演される村山先生
熱心にメモをする姿が見られました 質疑応答も活発に行われました

参加者の感想

講演のタイトルに誘われ初めて参加させていただき、「都市計画による防災」の課題について興味深く聴講することができました。

最初に関東大震災(1923年)、阪神淡路大震災(1995年)の事例から、都市計画による震災復興の手法について解説され、巨大地震に備え「事前災害復興計画」を策定しておくことの重要性を強調されました。このことから、災害による建築物や社会資本の被害を受容し、災害に備える異なった視点の防災について考えることができました。

また、東京都と名古屋市の「防災都市づくり計画」から、避難地と避難路のネットワークの形成及び市街地延焼を局所化する延焼遮断帯の確保による都市防災の骨格づくりと優先的に防災まちづくりを推進すべき地区レベルの整備計画について、解りやすく説明を頂きました。

私の勤務する会社は、神戸市の震災復興のための土地区画整理事業をはじめ、名古屋市の都市計画に関わる様々な調査と地理空間情報の整備を担っております。講演の中で都市の現況を捉えるために必要な建築年度の調査が未実施であることや土地利用の変遷を解析できる地理空間情報が整備されていない等、科学的な現状分析と将来予測が不十分であることが述べられました。

今後、我々“まちづくりコンサルタント”は、地理空間情報を活用して、住民の方との合意形成と意志決定の合理化を推進すること。加えて、大学等の研究機関と連携を強化して空間的解決策を創造していかなければならないことを再認識させていただきました。

最後に、このたびご講演を頂いた村山顕人准教授と災害対策室並びにアカデミー関係者の皆様に感謝いたします。

玉野総合コンサルタント株式会社 技術企画室 佐野滋樹