名古屋大学防災アカデミー

第52回 地域と連携した超高層ビルの地震防災 −新宿駅西口地域の事例−

講師: 久田嘉章(工学院大学建築学科教授)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2009年9月9日(水)18:00-19:30



大規模地震の被害規模および発生原因と揺れの違いについて、みな熱心に耳を傾けていました。

今回の出席者は76名でした。

久田嘉章先生。豊橋や新宿の特色ある地域防災についてお話していただきました。
写真撮影:黒崎ひろみ・畠山和也

セミナーに参加しての感想

 防災対策における共助のあり方について、現況の問題点を指摘され、解決手段としての組織作りの方法を考える契機となる講演であった。防災における共助は地域点検による現状把握(防災資機材・人材、災害時要注意ヶ所、災害時要援護者、避難所、備蓄倉庫,等)の点検マップを作成し、この情報を共有することに始まり、発災対 応訓練と情報収集・伝達・集約における対応力の向上を目指す組織の構築にあるとし、豊橋市、新宿駅西口地域の事例を紹介された。 ここで考えさせられたのが、豊橋市における住民と自治体の協働防災訓練が、現在に継続されていない事であり、「防災の協働体制を構築するための牽引力となる組織作りを何処に求めたらいいのか」という点である。久田教授の実践されている大学を地域の防災拠点 として位置づけ、共助体制作りを目指すことは、有効な方法と考えられるが、「大学一校においてどれだけの地域を掌握できるものなのか」、「防災と関わりの少ない学科を主とする大学が参加するものなのか」、「帰宅困難者(一般市民、教職員、学生)がボランテ ィア活動へと向かう意識改革はどのようにしたら出来るのか」等の疑問を持ち、考え続ける事になりそうである。
伊藤文隆 (名南住宅耐震化アドバイザー推進協議会)

 まず聴講していて感じたことは、防災知識の浅い私にもまことに解りやすい組み立ての講義でした。パワーポイントも、過不足なく情報を提示してくださってあり、じっくりと聴くことができました。巨大地震による遠隔地への地震動の伝達などの画面は、いつまでも揺れ続ける恐ろしさが、ちろちろと動く赤い波動の塊により実感として感じられました。  私たち地域での防災啓発に携わるものに、後半の「発災対応訓練、情報収集・共有訓練」の実際は大変参考になりました。小さなまち歩き、マップ作りの積み重ねから地域住民・自治会と自治体との協働訓練の必要性を強く感じました。発災時に生きる本当の訓練こそ今必要なものと感じました。その要は、日ごろの住民のコミュニケーションにつきるとも感じました。講師先生のなさった新宿西口などは全くの不特定多数の中での発災ということで、想像もできない困難さではないかと思いました。その点、私のまちは農村都市ですので滞留避難の人々はいないと同然です。その反面帰宅困難で帰れずにいる家族がいるかと考えます。私たちは名古屋中心地からの帰宅体験ウォークイベントを、11月22日に開催予定しております。実際に参加していただける人は少ないかもしれませんが、このイベントに目をとめることにより、思いを巡らせ、その時自分がどのように行動できるかを考えていただけるだけでも効果があると思っております。今日の講義を聴きながら防災は想像力からと強く感じました。
草苅玲子 (安城生涯学習まちづくり企画人)

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