名古屋大学防災アカデミー

第45回 「外国人とどうつきあうか? 災害時の異文化コミュニケーション」

講師: 羽賀 友信 (長岡市国際交流センター長)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2008年12月11日(木)18:00-19:30



外国人が被災するとはどういうことか、皆が同じように支援を受けるにはどうしたらよいかについてお話いただきました。

今回の出席者は77名でした。

羽賀友信先生。
写真撮影:森部千絵

セミナーに参加しての感想

初めて羽賀先生のご講演を拝聴したのは3年前の名大でのシンポジウムでした。その頃は、正直なところ外国人に対して身勝手でわがままという先入観があり、でもそうはいっても付き合わなければ・・・という思いが強かったです。しかし前回および、今回再び熱いご講演を拝聴して「外国人は母国のお国柄からそれぞれ違いがあり、外国人を交えた災害時避難所運営もお国柄を踏まえて対応すれば、スムースに運営できる」こと、また、「こちらから近づく気持ちが無ければ信頼関係は前進しない」ことを再確認しました。イザ大災害発生時は、外国人も地域住民としてお互いに助け合って過ごせる道がひらけるかも知れないと、希望が持てるようになりました。
 平成
21年(2009年)1220日開催予定の、「東南海・三河地震65年 市民防災フェア」では、国際交流協会と連携して外国人を対象とした防災コーナーなど、交流の場を設けようと話し合っています。
 私たちを
その気にさせていただいた羽賀先生と、先生を講師にお迎えくださった災害対策室に感謝しています。
間瀬 トシ子 (安城防災ネット) 


私の住む知多郡東浦町には1,500人近くの外国人が住んでいる。
10年以上前から付き合い始めて、最近やっと付き合う「コツ」を覚えたように思う。そうした時に羽賀先生のお話を聞き、さらにわかってきたことがあった。以下に列挙する。

@「共生」を目指したことは間違いでなかった

A 日本に来て、日本の文化を知ってもらう事は大事だが、私たちが彼らの文化を理解することも大事である

B 彼らの子供たちが日本の文化と母国の文化の両方を受け継ぎ、言葉を話せない外国人のかけはしになれるように後押ししたい

C 平常時に共生できれば、きっと災害時にも共生できると思うし、そうできるようにしておきたい

 お話を聞き、このような感想と決意を持った。
磯村 美智子 (東浦町)


 羽賀先生のご講演を聴くのは3回目、毎回その迫力には圧倒されますが、同時に、防災のための活動を自分たちがささやかながらも続けていく力と、新たな発想をもらいます。
 一瞬にして人々の知力が落ち、ドアの開け方もわからなくなる大地震。マニュアルは絵に描いた餅となり、人々の気持ちや行動は日常生活が増幅した形で現れるそうです。普段から信頼関係のある環境では人々は助け合い寛容になりますが、なんとなく不信感がある関係の中で生活してきた場合は、災害時には大きな対立が生まれかねません。ここぞという時に、どこへ行こうとするのか、誰を思い出すのか、これは普段の交流が創出していくものだそうです。
 また、街の中だけで対策を練っても、街が災害にあった場合にはその中では誰も動けません。近隣都市の人々が連携して初めて効果的な対策がとれることは、日常の近所づきあいと共に、都市レベルでの官民の協力が普段から大切であることを教えてくれます。大学レベルで言えば、地域の町内会等との協力とともに、他大学との連携を今後進めていこうと思います。
 外国人は多くの場合、言語や文化の壁によって情報弱者・災害弱者となりがちだと言われています。言語や文化の通訳者にもなりうる異文化対応力のある若者たちを育てることは、多文化社会が災害を乗り越える力をつけることでもあると信じます。留学生についていえば、知力・体力に優れ、国境を越えて勉強するという積極的で柔軟な気持ちがある彼らは、一端壁を乗り越えれば災害時にも強力な助っ人・リーダーとなる資質を持っています。ご講演を聞いて、彼らが活躍できる素地を作ることもまた、大切な教育であると確信しました。
田中 京子 (名古屋大学留学生センター) 




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