名古屋大学防災アカデミー

第4回 「治水と水防災」

講師: 辻本 哲郎 (名古屋大学工学研究科教授)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2004年11月16日(火)17:30-19:00





工学研究科・辻本哲郎教授


企業関係者などが多く、合計で49人の出席がありました。また講演後の質問も多くでました。


防災アカデミー初の水害関係の講演でした。今年の台風21号・22号・23号による水害についての速報的な考察も伺うことができました。。





セミナーに参加しての感想

 100年に1度程度の規模の水害から住民を守るための投資として、オーバースペック になるような設備の実現はまず無理だと思います。何かあったときのために・・・という 課題で取組むと、心配しすぎて(自然界からすればまだ足りないのでしょうが)現実離れ した壮大な設備と金が必要なシステムが提案され、当然このようなものが採用されるは ずもなく、限られた設備となってしまう。限られた設備の中で大水がでれば「行政はな にやっている!」と怒鳴られる。非常につらい立場であると思います。
 設備自体についても造った直後から役に立つ訳でもなく、「この設備って何に使うの ?」「なんか大雨が降ったときに役に立つらしいよ」「へえ」といったやりとりが聞か れ、その人たちの次の世代のころに、これが役に立つといったイメージなのでしょう。 ピークカットの話などは良く考えられた構図ですが、ある意味非常にむなしく、大借金 を抱えているところへ、10万くらいの宝くじが当たったような程度であろうと考えます。 もちろん、うまくコントロールすれば理想的な防御ができるのでしょうが、人間が自然 現象を征服できる訳はなく、さらに設備制限がある以上、到底コントロールは無理な話 であると思います。
 世の中への物の言い方として、「こんなに努力している」とは言ってもよいが、決し て「これで大丈夫」といった誤解を与えないことが重要だと思いました。
増元 康裕(名古屋市中村区在住,会社員)

 治水や水防災と聞くと河川の氾濫に対するものばかりを思い浮かべていたのですが、 水害にはさまざまな要素があるとのことでした。そのひとつは河川の氾濫による外水と 雨水や下水の排水不良による内水の関係であることで、最近の洪水は実は内水被害が 多いということや管理者も場所によって違うという話は都市やその制度について 考えさせられるものでした。また上流と下流の関係の問題もあり、上流で大雨が降った 場合にダムにためる分と河川に流す分の調節というのも実際は計画通りにいくとも 限らないため難しいものだと感じました。
 今年は被害が立て続けに起こって甚大な被害があり、中でも被害者の多くは高齢者 だったそうです。しかしそれも少し忘れかけられているように感じます。ハザードマッ プも作られているとのことで治水だけでなく、水害が起こった場合でも犠牲がより少 なくなるよう有効活用されるようにと思います。同時に地域住民の意識も高めていけ ればとも思います。
酒井 理恵子(工学部社会環境工学科,4年生)



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