活断層モニタリング

内陸活断層の詳細な破砕帯構造解明
現場観測による断層の固着過程(破砕帯構造の時間変化)のモニタリング

●何をモニターするのか?
 地震発生予測(地震予知?)研究を行うには,地震そのもの(発生のしくみなど)を知ることも重要ですが,地震発生の場である断層の性質も詳細に把握しなければなりません.
 大地震は同じ断層で繰り返し発生します.次の地震で断層が再び「パリっと割れる」ためには,地震の際に破壊した断層は次の地震までに固着すると考えられます.この断層の「固着過程」を調べることは,大地震までに断層がどんな準備過程を経ているのかを知ることに繋がるので,地震予知にとって大変重要な研究項目なのです.これまでの固着過程の研究は,小さい岩石試料を用いた室内実験によるものが主でした.しかし,室内実験では「空間的・時間的スケールの面で,自然現象を忠実に再現しているか?」という点に疑問が残ります.われわれは,地球を相手に研究をしているわけですから,地球そのものを実験室として研究を行うことで,より正しい知見が得られるのです.したがって,固着過程に関する研究も,実際の活断層において行うことが強くが望まれます.本研究課題では,手法の有用性を吟味しながら実際の活断層において固着過程の検出を試み,その進行をモニターする研究をすすめています.

空から見た野島断層(ANA443 伊丹→松山)

●どうやってモニターするか?
 活断層を調べる方法はいくつもあります.断層と聞くと地質学を連想される方も多いと思いますが,地質学的手法では,どうしても表層部分の情報しか得られないため,さらに深くまで続いている断層の全体像を理解するには,地下深いところの情報を得るのに有利な地球物理学的な方法が適しています.地球物理学的方法には,地震,電磁気,重力などが挙げられますが,私は地震学的な手法を用いて活断層モニターに取り組んでいます.具体的には,以下に述べる2つの方法を試みています.